雑記帳第34回「 能登半島地震 」


 令和6年元日、能登地方を震源とするマグニチュード7.6、最大震度7の強い地震が発生し、故郷で正月を過ごすために帰省した家族や温泉で正月を過ごしていた県外客なども含めて多くの方が被災した。
 7階建てビルまで倒壊するほどの強い揺れで多くの木造家屋が倒壊した。また地盤の隆起により海底だった場所が露出し使用不能になった漁港もあるなど石川県を中心に大きな被害が発生したことは報道等で承知のとおりである。
 暖冬とはいえ1年中で一番寒い時期の被災であり、1月下旬の最強寒波到来による厳しい冷え込み、避難所の過密、更には断水で手洗いやうがいも十分に出来ないことでインフルエンザや新型コロナに感染する被災者の増加も指摘されているなど厳しい環境の中での避難生活を強いられている。
一方で、介護が必要な家族がいることやペットの世話、自宅の物品盗難防止を理由に避難所に行かないで、かろうじて住める住宅や農業ハウス、車の中で生活する被災者も多く、中には避難所生活にストレスを感じて避難所を出る被災者もいるようである。
 輪島市、珠洲市など6市町では、1月26日時点でも在宅避難者の人数などの正確な把握が出来ておらず、支援が十分に行き届いていないのではないかと報じられている。
現地では土砂崩れや陥没、段差等で主要道路がズタズタに寸断されて通行止めの箇所も多いうえ、交通アクセスが限られていたことで地震発生当初は被災地に入ることが困難だったこともあり、被害の全容はいまだに正確には把握されていないようである。
 断水は3月末まで続く地域もあるという。寒さもまだ続く。このような状況が続けば災害関連死者の増加が懸念される。当面は、被災者が一日も早く環境の良い二次避難所に移れることを願ってやまない。

 政府の地震調査委員会は、1月15日、「宮城県沖で30年以内にM7.4前後の地震が起きる確率は70~90%」と発表した。「宮城県沖地震の発生間隔を38年と推定しているが東日本大震災から13年となる今、いつ大きな地震が発生するかわからない」としている。
 災害はいつ起きるか、またどこで起きるかわからない。自然災害は防ぐことはできないが、災害による被害を最小限にする減災は可能である。「天災は忘れた頃にやってくる」と寺田寅彦は言ったが、忘れる前に来る可能性もある。日頃から減災のための備えを心がけたい。

副会長 千葉 裕一