雑記帳第38回「 季節の節目 」


 昨年の夏が異常な暑さだっただけに、果たして今年の夏はどうなるのかと6月頃からずっと気になっていました。数字的な詳細データは把握していませんが、今振り返ってみると、私の肌感覚では気温自体は全体として昨年よりいくらか低かったように感じました。とはいえ、9月に入ってもダラダラと暑い日が続いたのには参りました。まあ、さすがにお彼岸を過ぎてそれまでの暑さが嘘のように涼しくなり、日によってはストープが欲しいようなときも出てきました。「暑さ寒さも彼岸まで」とはよく言ったものです。

 さて、この季節の節目と軌を一にするように、つい先日、いわば政治の節目となる自民党の総裁選挙が行われました。過去最大の9名が立候補するという混戦であったため、なかなか結果を見通すことが困難でしたが、すでに皆様ご承知のように、5度目の挑戦となる石破氏が積年の思いを果たして当選しました。

 実は、3年前の前回自民党総裁選で当選した岸田氏に対して、このコーナー(第21回「時代の境目」)に書いた所感の中で、積極財政による所得倍増という主張への期待を述べていました。しかし、その後3年経っていまだに所得拡大の兆候すら見えず、結局その主張は言葉だけで終わってしまいました。石破氏は経済にはあまり強くないとの評判がもっぱらですから過度の期待をすべきではないかもしれませんが、是非とも国際社会における日本の自立自存、国内的には国土強靭化と所得拡大というわが国が直面する喫緊の課題に積極的に対応していただきたいものです。時あたかも11月には全世界に大きな影響を与える米国大統領選挙が行われます。いずれが大統領になろうとも日米関係において断固わが国の国益を守るための外交力を新総理には発揮してもらわなければなりません。

 わが国では新総理が決まり、米国では新大統領が決まるこの2024年の秋が、両国それぞれの独自課題解決の契機となるのみならず、今や第3次世界大戦目前ともいわれる世界情勢の中で、戦争と貧富分極化の時代から平和と物心ともに豊かな時代への転換点(節目)であったと後世評価されるようになることを心から願わずにいられません。

会長 小林 伸一