雑記帳第9回「勾当台ライブラリー」構想


先日、私が県に入りたての頃の職場の先輩だった会員から本が送られてきました。いわゆる自分史です。昭和37年から平成16年までの42年間に亘って取り組んだ数多くの仕事にまつわる様々な話題がちりばめられている大冊です。時代時代ごとの職場の様子、雰囲気、上司・同僚の仕事ぶりが、珍談奇談を交えてこと細かに記されています。その会員の自分史であると同時に、貴重な県庁史にもなっています。また、会員ではありませんが私が長年お付き合いいただいている方で、第二の職場を辞した後単身アメリカに渡って1年間英語の勉強とスリリングな一人旅を敢行し、さらに、その数年後に今度は半年間イギリスで英語の勉強と一人旅という、些か破天荒な行動をした方がいます。そして、その経験をもとに実に立派な本を上梓されました。それも自費出版ではなく、商業出版です。そのほかにも、県退職者の中で多くの方が俳句、短歌、エッセイなど様々な分野で著作を出されている例を聞き及んでいます。今年度これまで出席した各支部の集まりの中でも、いま自分史を執筆中であるとか、地元紙に長年寄稿しているといったお話を伺いました。

 こうした著作物は、特殊な例を除いては、あまり多くの人目には触れないまま忘れられてしまうのが通例と思います。むしろ初めからそういう前提で出している方も多いでしょう。しかし、退職後の生活においては、比較的時間のゆとりのある中で、比較的自由な立場で自己表現することができるわけですから、そこには長年の人生経験や職場経験に裏打ちされたその人ならではの味わいがにじみ出るもので、まさに社会共有の知的財産といっても過言ではない価値があるのではないでしょうか。  

 そこで、会員の皆様から自らの著作物をクラブに寄贈していただき、それをまとまった「ライブラリー」として、会員・非会員を問わず誰でもいつでも見られるようにしてはどうかと考えています。もちろん今すぐというわけではありません。寄贈いただいたものがある程度の分量に達した段階でということになります。どんな分野の著作でも結構ですし、決して立派な体裁のものでなくとも結構です。会員でない方でもご希望があれば受け入れます。ぜひ1冊(1部)ずつご寄贈ください。いつまでという締め切りは設けません。いつでもその気になったときにご寄贈ください。なるべく早く「ライブラリー」を開設できるよう、皆様の積極的なご協力を心からお願いいたします。

会長 小林 伸一 記