雑記帳第14回「新たな国難」


 いま新型コロナウィルスが猛威を振るっています。いわゆる「風邪」の原因の15%はコロナウィルスと言われているように、コロナウィルス自体は決して目新しいものではありませんが、今回のコロナウィルスは、新型であると同時に、遺伝子解析すると自然由来のものではないという説もあり、人類にとってはいわば未知の「敵」と言って差し支えないようです。適切な医療が施されれば致死率はそれほど高くはないようですが、異常に感染力が強いため、感染者が増えて医療的対応の限界を超えてしまうと、免疫力の弱い人間は死を待つしかないという状況になります。感染拡大を抑制するためには人と人が接触する機会をなるべく少なくしなければならず、具体的には「3密」を避けるということを専門家は盛んにアピールしています。これを国民全員がきちんと励行すれば相応の効果がみられるのでしょうが、なかなか現実の世の中はそう簡単には行きません。それでもまだわが国は今のところ感染者、死亡者とも諸外国に比べれば増加ペースは緩やかに推移しています。いわば日本民族の「まじめさ」のなせる業かもしれません。
 さて、これが今後どうなるかが大きな関心事です。ある専門家の見立てによると、流行期間は最短で半年間、長ければ2年程度としています。とはいえ、これはあくまで一つの予則に過ぎません。上記のように今回のウィルスは未知の敵です。本当のところはどうなのか誰にも正確なことは見通せないはずです。かつてわが国は、東北地方を中心に東日本大震災という国難に見舞われました。国難とはいえ、一過性の災害でした。目標を立てて復興を目指して進むことができました。しかし、今回は先が見えないという極めて厄介な状態にあります。仮に一時は抑え込むことができても、二次、三次の流行も十分あり得るでしょう。その意味では当分は皆がじっと我慢することが必要になりそうです。ということは、当然経済活動にも極めて甚大な影響が及ぶわけで、世界全体がリーマンショックどころか1930年代の大恐慌並みの不況に陥る可能性があると言って過言ではありません。世界全体として根底からの構造転換を余儀なくされそうです。 わが勾当台クラブのことについて申し上げますと、例年5月下旬に開催していた総会を今年は延期することにしました。とりあえず仮置きで9月26日(土)開催を予定しています。今後の状況によっては、さらに延期又は中止もあり得ると考えています。会員の皆様、ぜひとも感染防止に細心の注意を払われるようお願い致します。時あたかも特別措置法に基づく緊急事態宣言も発令されました。戦争でも天災でもない、新たな国難の渦中にあるという認識が必要なのではないかと思うのです。

会長  小 林 伸 一 記