雑記帳第26回「 ちょっと早めの1年回顧 」


 10月になりました。1年が終わるまでにまだ3か月ほどあるのですが、正直なところ今年くらい「嫌な」ことが立て続けに起きた年は、私の七十余年の人生では記憶がなく、早く年が明けないかなぁと思いつつ、令和4年を振り返ってみたいと思います。

 まずなんと言っても、2月に起きたロシアのウクライナへの軍事攻撃です。マスコミでは何故か「侵攻」というあまりギラつかない言葉を使っていますが、まぎれもなく侵略です。ただ、唐突にロシア軍が動き出したというわけではなく、事ここに至るまでの複雑な経緯があるようで、ウクライナ側及びその背後にいる米英等の「挑発」にも少なからぬ責任があることは否めないでしょう。とはいえ、実際に軍事力を発動してかくも悲惨な事態を招いたロシアはやはり強く非難されなければなりません。有り体に言えば、いつどこでこうした侵略行為や戦争が起きてもおかしくないのが国際社会の現実であり、戦後の長きにわたるわが国の平和は、まさに僥倖と言っても過言ではないでしょう。ウクライナを他山の石として世界の現実を直視し、全国民がわが国の安全保障について実効的な対応策を考えることが喫緊の課題になっていることは間違いありません。

 次に、コロナです。本県では今年に入ってから第6波に見舞われ、それが5月以降安定傾向を示してそろそろ終わりが見えたかと思ったのも束の間、7月から爆発的な拡大を見せました。第7波です。昨年春にわが国でワクチン接種が始まった当時、国民の7割が接種すれば、集団免疫ができて感染が収まると言われました。しかし、その後の現実はこうした予測とは見事に異なる展開になりました。つまり、先行きは未だ霧の中であり、これこそが国民にとって一番辛い問題であることは、いまさら言うまでもありません。ただ、重症者や死亡者の割合は低下傾向にあり、明らかに弱毒化しています。必要以上に恐れることなく、実情に応じて逐次社会活動を戻していくべきでしょう。

 三つめは安倍元総理の暗殺です。政治家の暗殺は、世界的には決して珍しいことではありませんが、ことわが国に関しては、白昼堂々とあのような凄惨な状態で命を断たれるのは誠に稀有な例です。同氏の政治姿勢に対する国民の評価は、民主主義国家の常とし決して一様ではないものの、ともかくわが国の近代政治史の中で最も長く総理の座にあり、安定的に国政をリードした実績や世界各国の指導者からも信頼を置かれた外交手腕は卓絶したものがあり、政治家として一頭地を抜いた存在でした。このような安倍氏を失ってしまったことは、わが国にとって極めて大きな損失です。今となっては安らかなご冥福をお祈りするほかありません。

 暗い話題のオンパレードの中で、一つだけ飛び切りの出来事がありました。夏の全国高校野球選手権での仙台育英高校の優勝です。決勝戦の相手は山口県の高校、いわば「令和の戊辰戦争」での宮城・東北の勝利とも言えます。この一事だけで今年は末長く宮城県人に記憶されることでしょう。

会 長  小 林   伸  一