大崎支部「消えゆく常連宿『玉造荘』」


 元横綱白鵬関も何度か訪れた、鳴子他四温泉地区からなり、湯量湯質ともに全国屈指の温泉地「鳴子温泉郷」この温泉郷の一温泉宿の灯が消えようとしている。誰もが知っている川渡温泉にある「本館二階建・別館離れの間・源泉かけ流しの湯」で、全国各地から利用客のあった公立学校共済組合鳴子保養所「玉造荘」である。

 5月中旬に私の耳に入り、一瞬なぜと思いつつもコロナ禍、施設設備の老朽化も否めない状態にあることを考えれば、やむを得ないと思った。初耳から五カ月後の10月1日に正式発表され、12月17日の宿泊客を最後に翌18日営業終了となる。

 この保養所は、私が県職員退職後5年間勤務した第二の職場で、その間に営業成績優秀・優良施設と認められ三度も全国表彰受賞、東日本大震災では被災者支援で南三陸町住民の受入れで宿泊支援活動、営業活動では県内各支部役員宅を訪問し施設利用の予約を受けるなどと思いで多い施設であった。

 施設退職後は、一リピーターとして知人・友人などと何度も利用した常連客でもある。大崎支部にとっても大きな痛手である。平成22年度から支部移動役員会、会員の交流会、他支部との交流会など機会あるごとに日帰りや宿泊で利用し、参加者と交わす杯を手に支部運営のことや世間話をし、カラオケで場を盛り上げたりなどと交流を深める場所でもあった。こんな思いで多く利用度も高まっていた施設、常連宿としていただけに、温泉宿の灯が消え常連宿がなくなり、支部活動の一拠点を失うことでもあり、何とも言えぬ寂しさがこみあがってくる。

 「こんぬぢは まだ来すた 泊めでけさいん」 「どうぞ どうぞ んだって おらほで助けられてんだから」 とこんな方言混じりの言葉で会話をし、温泉の温もり、心の癒し、人々との交流、絆が生まれ育ちおもてなしの心で迎え入れてくれる気楽な宿であった「玉造荘」、この宿の灯が消え寒々とした廃墟化を想像すると本当に無念でならない。こんな気さくな雰囲気の味わえる常連宿、なくなってほしくない、やはり残っていてほしいものだ。