雑記帳第2回「2025年問題」


 会員の皆様は、2025年問題という言葉をお聞きになったことがあると思います。2025年とは平成37年なのですが、来年には新しい元号に代わりますので、とりあえずここでは2025年としておきます(因みにこれは昭和で言うとちょうど100年に当たります)。また、団塊世代という言葉もよくご存じのことと思います。これはいわゆる戦後のベビーブームで、昭和22年から24年までの3年間に生まれた子供の数がその前後に比べるとダントツに多いことを表しています。この期間に生まれた子供の総数は約810万人、平均すると年間270万人です。直近のデータで平成29年に生まれた子供の数が94万人ですから、今の3倍近い子供が生まれていたことになります。実は私は昭和24年度の生まれで、一例をあげますと私が通った中学校は最大時1学年21クラス、3学年で63クラス、全校生徒数が優に3,000名を超えるという、今の時代からは到底考えられないような状態でした。

 2025年は、その団塊世代の最後の昭和24年組が75歳、即ち後期高齢者に到達する時期なのです。大量の世代が一挙に後期高齢者になるのですから、その時点で75歳以上が2,200万人、国民の5人に1人が後期高齢者になると厚労省では見込んでいます。65歳以上はと言えば、実に国民の3人に1人となります。そうなりますと、高齢者とは社会に支えられる存在という従来の概念が、制度的にも実態的にも成り立たなくなります。医療費も介護費も膨張する一方でしょうから、それをますます少なくなる現役世代が支えられなくなるのは当然の帰結です。

 さて、現在の日本国民の平均寿命は、男性81歳、女性87歳ですが、日常生活に制限のないいわゆる健康寿命は、男性72歳、女性75歳となっています。平均寿命、健康寿命とも逐年伸びてはいますが、健康寿命の伸びが鈍いことが特筆されます。こうしたことを考えますと、平均寿命の伸びは大いに結構なことですが、健康寿命を一日でも長く保つことによって、極力医療や介護のお世話にならないように努力することが、ご本人にとっては勿論、社会全体にとっても非常に大切なことと言えるのではないかと思います。

 先日仙台東部支部の「会員の集い」に出席させてもらいました。懇親会の前に県職員の出前講座があり、「これからの介護予防」というテーマで、大変分り易く面白いお話を聞かせてもらいました。最も印象深く頭に残ったのは、生きることの3要素は運動、栄養、休養であり、活きることの3要素は遊び、仕事、交流であるとのテキストの一節でした。活きるとは即ち元気に生きることを意味するのでしょうが、ここでいう仕事とは、必ずしも報酬を伴うものに限らず、要するにその人が社会の中で求められる役割をきちんと果たすことと私流に解釈します。つまり、自分の興味に従って心を解き放ち、社会的役割を果たし、そして、色々な人との交流の中で刺激を受けること、これが健康に生きる秘訣であることを教えられたように感じました。勾当台クラブの活動もこのような発想をベースに取り組んで行きたいと考えている次第です。

会長 小林 伸一 記