雑記帳第24回「団塊の世代と新しい高齢者像」


 今年、私は後期高齢者の仲間入りをします。よくここまで生きてこられたなあという感慨と親への感謝の気持ちを抱きつつ、一方で日本人男性の平均寿命が81.64歳であり、また、勾当台クラブ会員の平均年齢が80歳を超えると聞くと、まだまだこれからとの思いもあります。

 75歳以上の高齢者を指す「後期高齢者」という言葉は、もともとは人口学や老年学の学術用語で、65歳から74歳までの「前期高齢者」と区別するために用いられ、平成20年に「後期高齢者医療制度」が創設されたことで、広く国民に知られるようになりました。しかし、後期高齢者という名称には、「差別的」とか「現代の姥捨て山」などといった批判があり、一時期、大分揶揄(やゆ)されたこともありましたが、最近はあまり騒がれなくなったようです。

 さて、私は昭和22年生まれで、いわゆる団塊の世代です。団塊の世代とは、「昭和22年~昭和24年のベビーブーム時代に生まれた世代」で、他世代に比し、人数が特に多いところからこのように呼ばれています。昭和22年生れは267万9千人、昭和23年生れは268万2千人、昭和24年生れは269万7千人で、3年間の合計出生数は約806万人にのぼります。(ちなみに令和2年の出生数は84万人です。)

 私と同世代の人数がいかに多かったかを、当時の学校生活の状況から一例を示しますと、

① 小学校6年時。クラスの生徒数が72名。一つの教室に72名が詰め込まれていた。クラス会の名称が「七二会」で、毎年7月2日にクラス会を開催。

➁ 中学校3年時。学年の学級数が16組。

③ 高校入学時の年。宮城県内に県立の新設高校が2校誕生。

 今年、その昭和22年生まれの我々が後期高齢者に達し、3年後の令和7年には団塊の世代が全て75歳以上になりきり、超高齢社会を迎え、様々な分野へ大きな影響を及ぼすと言われております。これがいわゆる「2025年問題」で、政府は「全世代型社会保障検討会議」を設置し、年金・労働・医療・介護など各分野における改革のための議論が進められています。

 これまでも、この世代に照準を合わせて、各種の施策がなされてきていますが、先に出された厚労省老健局報告書の資料によると、団塊の世代の特徴として、時代の様々な背景等もあるが、高学歴化や高い持家率、定年後も勤労意欲が高い、高い社会活動への参加意向、在宅医療・介護に対する高いニーズと終末期の延命措置を望まない傾向等が挙げられています。

 もちろん、団塊の世代も一人ひとり多様ですが、2025年の高齢者像は、これまでの高齢者像の延長線上ではなく、一味違う新たな高齢者像が見えてくるのではないでしょうか。

副会長 加藤 秀郎 記