雑記帳第25回「 がん検診の勧め 」


 歳をとるにつれ健康についての関心が高くなってきました。かつての上司や同僚の訃報に接したり、体調が悪いため会合に欠席する旨の連絡を受けたりするたびに歳には勝てないのかと感じたりすることが多くなりました。

 歳を重ねれば人は老い、病み、いずれ死ぬことは理解しておりますが、「まだまだ先のこと」と思っていた自分も昔風に数えれば70歳になり、人並みに健康を気にする境地になってきました。

 厚生労働省が発表した2020年の人口動態調査によると、日本人の死因は1位:がん、2位:心疾患、3位:老衰の順でした。1980年まで30年連続1位だった脳血管疾患は4位まで下がっています。

 がんは1981年から連続して死因のトップを占めております。日本人の2人に1人が生涯に何らかのがんに罹ると言われており、日本人の3~4人のうち1人ががんで死亡するという結果が出ております。

 がんセンターに勤務していた際に専門家から「遺伝子が傷つくことによってがんになる」と聞きました。・・・・・人間には60兆もの細胞があり、新陳代謝などで日々生まれ変わっている。1つの細胞は分裂するときにDNA(遺伝子)をコピーして2つの細胞に振り分ける。その際にたまたま突然変異などのコピーミスが起きることがあり、異常細胞は、刺激物質(たばこ、発がん性のある食品、放射線など有害化学物質等)やストレスなどによる刺激を受けて徐々にがん細胞になる。がん細胞は1日数千個もできていると考えられている。一方、人間の体には生まれながらに免疫があり、がん細胞ができてもそのたびに免疫細胞が排除しているといわれている。健康な人の体では、毎日「数千勝0敗」という状態が続いている。それでも年齢を重ねると細胞の老化でコピーミスが多くなる。老化で免疫力も落ちてきてチェック体制が弱くなる・・・・・高齢者ががんにかかりやすくなるのはそのためだといわれています。

 がんは「不治の病」と言われた時期もあり、宣告されるとショックを受ける人が多く、家族からの要請で、平成の初めころまでは本人には病名を告げなかった病院が多くありました。宮城県でも県立がんセンター建設時に「がんセンター」という名称は刺激が強すぎるので名前を変えられないかという議論が県議会で行われたことがありました。

 現在は早期発見すれば、5年生存率が90%近くになっており「治る病気」になりました。

 しかし、2年前からのコロナ感染禍による外出自粛の影響でがん検診を受ける人が減少しているとのことです。転ばぬ先の杖として「がん検診」を受けられることをお勧めします。

  

副会長  千 葉 裕 一